2009年6月21日日曜日

この国を守るための外交戦略

著者の岡崎氏といえば、テレビなんかで、アングロサクソンにくっついてさえいれば日本は大丈夫なんですよ、とおっしゃるのを聞いて、引きまくった記憶があるんですが、

そんな根拠のないハナシをしているはずもなく、と本書を買って読んでみたわけでして、


キーワードとしては、歴史と地政学。著者によれば、日本の安全保障が安定して平和だったのは、日英同盟があった期間と、日米同盟がある今の時期だけだ、と。ということは、米英との関係が悪化すると、やばくなった、てことで。

もともと、地政学的にみて、日米の利害は歴史を通じて(といっても明治来ということですが)一致していた。利害というのは、ユーラシア大陸における両国の利害ということです。大西洋をはさんでユーラシア大陸の欧州と対峙するのに英国という島国を同盟国として一体で取り組むように、太平洋をはさんで、大陸のアジアと対峙するのに、日本という島国を同盟国として一体で取り組むのが地政学的に安定していて優れている、というんですね。日本にとってもロシア、中国という大国と対峙するのに、米国と組むのが丁度具合が良いってことで。

こうした地政学的な事情は長期に安定していて、一時的な政治的な関係で壊したりしてはいけない、太平洋戦争は、米国が中国にセンチメンタルに肩入れして、あるいは政権間の外交的な齟齬が発展して発生してしまったが、違う選択支があった、ともおっしゃっておられます。

米国は世界的に孤立してて、みたいなことは心配しなくても、軍事的に圧倒パワーである限り、覇権国であり続け、くっついときゃ良い、みたいなニュアンスもあります。

歴史と、主要な議論を踏まえて立論されていること、緻密であること、で説得力のある論理展開です。

まあ、アングロサクソンについていきゃ良いみたいなものの言い方は別として日米を見る図式はとてもわかりやすいです。

日中国交回復を達成した田中角栄の外交を日米同盟の観点からかなり強く批判している点にはびっくりで、本書日本外交のひとつの立場を主張しているということですね。きちんと主張をするには、当然ながら立場というものは出てくるのであって、あっちも立ててこっちも立ててみないなへっぽこ議論より数段わかりやすく、フェアな主張だと思います。

個人的には、外交がテーマだとしても、視野が、つまり成功と失敗の判定が、外交の世界に狭く限定されすぎていること、米国がそんなに信頼できるんか、という感じが最後まで残りました。まあ、これは時事評論をあつめただけの本なんで、もう少し体系的なご本もあるようなので、そっちを読むべきですかな、

2009年6月15日月曜日

動産担保革命

もともと、銀行員だった著者が、ドンキホーテに派遣されることになり、そこで出会ったスゴ腕のバイヤーの商品目利き力、つまり、どれだけの価値があるのかを見極める力にインスパイアされて、在庫の評価NPOを立ち上げるまでのストーリー、とでも言いますしょうか。

銀行員時代は、ビジネスマッチングで、仕入れ先や売り先を紹介して、取引先を助けることに奔走。取引先がどこからいくらで仕入れて、という商流を全部頭に入れていたんだそうです。

銀行は担保主義にかまけていてビジネスの本質を捉えることをしていない、何とか担保によらない融資ができないか、とずっと思っておられたそうで。

そこで、出会ったのが、商品目利き力ということですな。

まあ。在庫も担保にするんだから担保主義やんけ、という突っ込みも可能ですが、不動産担保と違って、ビジネスに直結する担保だし、商売そのもので保全するので、ちょっと事情は違うってことで、しかも、不動産と違って、ビジネスに関係なく貸す、ということはなくなるわけで。

実務的に役立つ本というよりは、著者の思いやら、法律が整備されてどう変わってきたか、なんかを生き生きと伝えてくれる本、という感じです。






本書ではゴードンブラザーズジャパンの社長との面談したことも書かれています。

ゴードンブラザーズって、会社が清算するときに、買いにきたりする会社のようです。

最近では、エディバウアが法的破綻した場合の買い手として登場してますな。
The Wall Street Journal reports the clothier may file for bankruptcy protection by the end of this week. Waiting in the wings are familiar bankruptcy buyers Hilco Consumer Capital and Gordon Brothers, as well as CCMP Capital Advisors.