2009年2月28日土曜日

日本人が知らないおそるべき真実 番外編


インボー説の類は読まないようにしてますが、本書は数字が出ているし、中身もそんなに変じゃなさそうで、結構売れてそうでもあって読んでみました。

財政赤字やら、金融やらのハナシ、真面目な議論だと思います。ロスチャイルド云々は、私にはよくわかりませんがね。金持ちが力を持っているのはそのとおりで、金持ちはもっと金持ちになるのもそのとおりでしょう。桁違いに金持ちが桁違いに力を持っている。そうなんでしょうな。しかし、何から何まで動かしているというわけではないに違いないですしね。構造的に、金持ちに資金が集まるようになっている、というのはそのとおりでしょうな。これを変えたい、わからんでもありません。

まあ、大風呂敷は別として、本書のしまいの方で書かれている、『地域通貨』については、マジに検討する価値がありそうですな。本書で提言されているのは、減価してゆく地域通貨でして、フツー一般で試みられているのとはちょっと違いまして、持っていると段々5%、10%と価値が減らされてゆく。だから、早く使わないといけないわけで、退蔵されることがない、どんどん市場で使われることになります。

この不況の問題点の一つは、皆が、不況、失業におびえてお金を使わなくなっていることですな。車を買わない、デパートで買い物しない、高いものは買わない・・・。消費が落ちれば企業の売上が減り、設備投資が止まり、雇用が減り、またまた消費が落ちて、というマイナスのスパイラルに陥ってしまいます。社会全体では、もっと働きたい、もっと生産して世の中のためになりたい、もっとサービスを提供したい、と考えている人が多いのに、その力が余ってしまう。社会の生産力があまっている、遊んでいる状態、これが不況だとすると、課題としては、これを使うようにすること、ですな。あまっているサービスを購入し、もっとモノを買うようにすればよい。それで経済が回るようになる。

減価する地域通貨はこの課題を解決するために考案されていて、減価するまでに使わないといけないので、次々に通貨の所有者が変わり、自分の手元に来たらすぐに使ってしまう。これ経済回りますな。需要が喚起される、という言い方でもかまいませんがね。

カンキョーがどうの、とか、資本主義がどうの、みたいなイデオロギーなりキレイ事なりと一緒に議論されると地域通貨もアホ臭く聞こえてしまいますが、こうした『機能』をベースにした議論は有効で、マジに検討されるべきだと思いました。



百年に一度の危機から日本経済を救う会議 番外編


高橋洋一本、最新刊。

対談形式。本書でも、日銀の金融政策が批判されている。著者は財務省出身者ですが、財務省のこともコテンパンにやっつけているので、だから日銀批判をしているというのはあたらないんでしょうが。

本書で一貫して批判されるのは、日銀、お役人、マスコミの不勉強なり、自分の利益だけを考えていること、事なかれ主義が過ぎて全体としてみると大きな損失となっていること、それを糊塗するにあたっての汚いやり口、あたりでしょうか。

重要政策を決めるにあたり、十分な理論的な検討、議論がなされるよりは、自分にとって利益かどうか、数人が談合して決める、みたいなことですかね。データや理論はそちらにあわせて適当に作られる。それを暴くにもマスコミも学者も飼いならされていて・・・、という構図です。

気楽に読めて、面白い。アハハ、そうなんだろうな、というのが感想。


2009年2月26日木曜日

『現場に解あり』 新連携で中小企業支援 番外編


『新連携』と呼ばれているようですが、中小企業基盤整備機構が、中小企業の連携を支援する施策があるとかで、それを紹介しています。中小企業が苦手とする分野、たとえば新規事業のマーケティングや、事業計画の中身にまで踏み込んで指導するとかなんですな。

『連携』というのは、中小企業だと新事業を単独でやり遂げるのは難しいんで、いくつかの企業が得意分野を持ち寄ってチームを組んで実現するしかないわけですが、お役所はそのチームに補助金を出したり専門家を派遣して指導する。

本書では携帯型の消火器開発の例が冒頭に出てきて、低温の二酸化炭素を吹き付けて火を消すという基本技術は持っているが、消火器のバルブを作ったり、カッコの良いデザインする力は無い、という会社が他の会社と組んで見事立ち上げるというハナシが紹介されています。

この施策が面白いのは、中小企業の今後の発展の方向性なり、今の中小企業一般の課題を示唆しているところじゃあないですかね。

技術は持っていても、商品化し市場に売ってゆくまでの力が無い → だから大企業に技術を持っていかれる、なり、安く買い叩かれたり、あるいはパーツの納入業者としてしか関与できない。おいしいところを大企業に握られてしまう。単独では力がなくても、複数集めればナントカなるわけで、連携、というのは中小企業の一つの可能性だと思えるんですね。

日本では『お墨付き』をもらうことが結構大事で、資金調達するにも、この施策に認定されることが結構効いたりするらしいですな。何年か前に『産業再生機構』ができて、民間の再生ビジネスにも拍車がかかったように、こうした施策で中小企業の発展に民間も、金融ももっと積極的に取り組むとかいう機運が出てくると良いんですが。

本書では、医療関係の機器開発の事例も出ているんですが、この施策に認定されて一番助かったのは、厚生労働省の認可をもらう時に、この施策で派遣されたお役人のマネージャーが活躍してくれたことなんだとか。

お役所の壁にお役所が挑む。

アホくさ。