2009年10月22日木曜日

100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図

ブッシュさんの時代にずいぶん暴れて、イラクで失敗、オバマさんもアフガンで苦労してて、米ドルは下落する一方で、と米国凋落説なり、米ドル基軸通貨じゃなくなる説なんかが、話されているわけですが、本書によると、21世紀は米国の時代だと。

米国はまだ若い国で、これからであって、いろいろ無茶するのもそのせいだ、とか。また、米国はあまりに強いので、政策の失敗に対するバッファーが結構あって、無茶しても結構大丈夫なこともあって冒険的な政策がとれたりする。

さて本書によると、

米国の強さは、他を圧倒する軍事力。どの海域にあっても米国の監視を潜り抜けるわけにはいかない。米国は地政学的に大西洋と太平洋に面し、海に面しているという面で非常に優位でもある(世界を海から支配できる)。

ロシアは今世紀前半に崩壊。人口が減少していて、軍隊を維持できず。いずれは他国の草刈り場になる。

中国も沿海部と内陸が分裂。沿海部は日本の資本との連携を強め、中央に対する忠誠を失う。分裂は中国の過去の歴史の繰り返しに過ぎない。あえて統一をしようとするならば、経済発展を捨てて内に閉じるしかない。中国は世界の断層線にはなりえない。

米国に挑戦する勃興国は、日本とトルコ。いずれ両国は同盟関係となり米国に軍事的に挑戦するかも。戦いは宇宙を舞台にはじまり、最後は日本の負けに終わる。

ポーランドは米国の後ろ盾を得て、大国化。

米国の戦略は、ユーラシア大陸を圧倒的に支配する統一国家を作らないこと(分断統治)。ポーランドを支援するが、強くなりすぎないようにコントロール。イスラム原理主義は驚異ではない。すでにアルカイダは反米国イスラム同盟の組成に失敗している。

トルコー日本同盟は負けるが、米国は両国をつぶさない。巨大化は避けるがバランスを重視。

メキシコが今世紀の終わりに米国に挑戦する。人口減で米国の移民政策は大きく変化。移民の獲得が必要となり、メキシコ国境を解放。メキシコ国境付近はラティーノで占められる。国境付近は米国よりメキシコに心理的に従属。米国民だが、彼らの立場をメキシコ大統領が代弁するようになるかもしれない。メキシコが米国移民にも選挙権を渡したりして。

と、内部からメキシコは米国を少しづつ侵す。メキシコ国境付近の連邦からの独立志向があおられて、軍事衝突もあり。そうした動きには米国は弱い。

とまあ、出来事を追ってゆくだけでも結構面白いんですが、

本書のポイントは地政学的にハナシを詰めるとそうなるだろう、そうならざるを得ないんだ、と論理的に詰めていっているところです。チェスの試合で、打ち手は何十通りもあるとしても名人になればなるほど、打てる手は限られてくる。それと同じで、与えられた状況から、時の政権の支配者がだれであれ、やれることは極めて限られていて、結局ある程度、成り行きは予想できると。

状況というのは、地理であり、人口動態であり、テクノロジーであり、過去のいきさつであり・・・。

米国がこれからも圧倒パワーだ、というのも、まあ、そうですよね、ってとこでしょうか。


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